2022-10-10
不動産のような実物資産は、相続時に公平な分割が難しい特徴があります。
そのときに検討したいのが、代償分割です。
物理的な分割ができない遺産でも、公平性を保ったまま分配できる方法です。
今回は相続における代償分割とはどのようなものなのか、メリットや遺産分割協議書の書き方とともに確認していきましょう。
港南区を中心に横浜市で不動産をお持ちの方は、ぜひチェックしてみてください。
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相続が発生すると、相続人の間で遺産を分割します。
遺産分割とは、法定相続分に応じて公平に遺産を分割する方法のことです。
遺言書や公正証書があれば、それにしたがって分割することもあります。
しかし相続人の同意があれば、それ以外の方法や割合でも分割できます。
遺産分割には、以下の4つの方法があります。
現物分割とは、財産をそのままの状態で分割する方法のことです。
現物分割は、現金のような金融資産に向いています。
また不動産のような現物資産でも、1人が単独で相続する場合は現物分割です。
たとえば1人が不動産、もう1人が現金を相続するようなケースが該当します。
換価分割とは、現物資産を現金化したうえで分割する方法のことです。
たとえば不動産売却し、その売却金を分割するケースが該当します。
すでにマイホームを所有しているなどの理由で、不動産をそのままの状態で取得したい相続人がいないときに向いている方法です。
共有分割とは、複数の相続人で遺産を共有取得する方法のことです。
たとえば1つの不動産を複数人で所有し、共有名義の不動産として相続するケースが該当します。
ただし不動産を共有名義にする場合、不動産売却などの処分行為をおこなうときは共有者全員の同意が必要です。
また将来的に更なる相続が発生すると、権利関係が複雑になるリスクがあります。
代償分割とは、遺産の分割方法の一種です。
不動産のような実物資産は、複数人での分割が難しいケースが少なくありません。
そこで特定の相続人が不動産を取得し、そのほかの相続人に対して代償金を支払います。
すると遺産そのものは分割できないものでも、公平な分割が可能となります。
共有分割と異なり、権利関係が複雑になるリスクもありません。
そのため遺産を現物のまま相続したい方と、現金で相続したい方にわかれているときに向いている方法です。
代償分割にはどのようなメリット・デメリットがあるのか、次章で詳しく解説します。
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相続が発生しても、おもな財産は実家の建物と土地だけといったケースは珍しくありません。
このようなケースにおいて、たとえば長男が実家を1人で取得した場合、ほかの兄弟は遺産を相続できないことになります。
また不動産によっては、共有名義にすると活用しにくくなるものもあるでしょう。
そこで代償分割により、法定相続分に応じた金銭を支払えば、遺産分割を進めやすくなるメリットがあります。
このほか、代償分割には次のようなメリットがあります。
不動産を換価分割すると、不動産自体は売却により失われてしまいます。
思い出のつまった実家を手放したくないが、相続人で公平に遺産を分割したいときは代償分割がおすすめです。
また将来的に値上がりが期待できる不動産も、売却してしまえば値上がり益を得られません。
このようなケースも、代償分割であれば財産をそのままの状態で残せます。
相続した不動産によっては、相続税が安くなる特例を利用できる場合があります。
相続人が被相続人と同一生計だった場合、相続した自宅は「小規模宅地等の特例」を受けられます。
「小規模宅地等の特例」の対象となるのは、おもに以下の土地です。
たとえば特定居住用宅地等に該当する場合、330㎡までの部分の評価額が80%減額されます。
適用対象の不動産であれば、売却して換価分割したときと比較し、相続税を節約できる場合があります。
代償分割には、気を付けたいデメリットもあります。
分割方法を決める際は、以下のデメリットに注意してください。
代償金を支払える資金力が必要
不動産の評価額によっては、代償金が高額になる恐れがあります。
支払い側に一定以上の資金力がなければ、そもそも代償分割できない点に注意してください。
合意があれば分割での支払いも可能ですが、後々に未払いなどのトラブルに発展するリスクもあります。
そこで代償金の支払いに対応するために、生命保険を活用する方法もあります。
生命保険の死亡保険金は相続財産ではなく、受取人の固有財産です。
そこで代償金を支払う相続人を、死亡保険金の受取人に指定しておきます。
相続発生時には、死亡保険金を代償金に充てることが可能です。
贈与税・所得税が課せられる場合がある
代償金は贈与税の課税対象外です。
ただし手続きに不備があれば、贈与税が課せられる場合があります。
たとえば不動産の価額以上の代償金を支払うと、超過部分が贈与と見なされることがあります。
また、遺産分割協議書に代償分割についての記載がないときも、贈与と判断されることがあるため注意してください。
このほか現金以外で代償金を支払ったときは、譲渡所得税の対象になることもあります。
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代償分割により遺産を分配るときは、その旨を遺産分割協議書に明記する必要があります。
贈与税が課税されることを避けるためにも、書き方や相続税の計算方法を確認していきましょう。
遺産分割協議書には、以下の内容を記載します。
そして代償分割にあたっては、以下の内容を記載してください。
代償分割により遺産分割すると、代償金の受け渡しについても相続税が課税されます。
そこで代償金を支払った相続人、受け取った相続人それぞれの、相続税の計算方法を確認していきましょう。
代償金を支払った相続人:課税額=相続した遺産の価額-代償金の価額
代償金を受け取った相続人:課税額=代償金以外の相続遺産の価額+代償金の価額
代償金を受け取った相続人は、代償金がそのまま課税額となります。
なお代償金以外にも相続した遺産があれば、それも課税額に加算してください。
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不動産などの実物資産を相続するときに知っておきたい、代償分割とは何かについてご紹介しました。
代償分割なら、不動産を有効利用できる可能性が広がります。
将来的に不動産売却する際も、単独名義の不動産として取引できるため、売却活動をスムーズに進められるでしょう。
弊社では、港南区を中心に横浜市で価格査定の依頼を受け付けております。
不動産の相続を予定している方も、お気軽にご相談ください。